メルセデスベンツのDセグメントセダンであるCクラス。新型のW206が日本上陸してから早くも1年半が過ぎようとしています。
一方で中古車市場に目を向けると一世代前のW205が豊富に出回っています。求めやすい価格の個体も多くなってきたので購入を検討している方も多いのでは?
しかし“ベンツの中古車”を買うにあたって気になるのが故障や維持費ですよね。「W205の定番故障や弱点を知りたい」「中古車を買う時の注意点、チェックするポイントを知りたい」と感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回はW205の定番故障の内容とともに、中古車購入時の注意点を解説していきます。コレを読めばW205の“当たり個体”を引くにはどこをチェックしたらいいか分かりますよ。
W205を4年半所有し、弱点を知り尽くしたオーナーが徹底的に解説していきます。
- 所有するCクラス(W205)の詳細情報
- これまでに起きた不具合・故障一覧
- エアサス故障
- 足回りのギシギシ音
- 冷間始動時のガソリン臭
- シートバックポケット開きっぱなし
- 給油口キャップの紐切れ
- ドアハンドルLEDの照度バラツキ
- ヘッドレスト内部のスプリング外れ
- その他細部の劣化
- 中古車価格はお手頃
- まとめ
所有するCクラス(W205)の詳細情報
●車名
メルセデスベンツ Cクラス C200 アヴァンギャルド AMGライン
●年式/型式
2015年2月度登録車両/W205前期
●オプション
・レーダーセーフティパッケージ
・レザーエクスクルーシブパッケージ
・エアーバランスパッケージ
・有償ボディカラー(ダイヤモンドホワイト)
これまでに起きた不具合・故障一覧
筆者がCクラス(W205)を購入してから現在までの4年半の間に発生した不具合・故障は以下の通りです。
いずれもマイナー故障ではなく、W205の持病とも言えるメジャーな故障です。
- エアサス故障
- 足回りのギシギシ音
- 冷間始動時のガソリン臭
- シートバックポケット開きっぱなし
- 給油口キャップの紐切れ
- ドアハンドルLEDの照度バラツキ
- ヘッドレスト内部のスプリング外れ
- パフュームアトマイザー香りせず
- その他細部の劣化
では、順に詳細を解説していきます。
エアサス故障
W205はDセグメント車で初めてエアサスが採用されたモデルです。新型のW206はエアサスの設定はありませんので、最初で最後の“エアサスを装備したDセグメント車”になるかも知れませんね。
さて、エアサスは故障が付き物と言われていますが…やはりW205のエアサスも故障が多いです。
エンジン始動中も車高が下がりっぱなしで走行できない症状は「エアコンプレッサー」と「バルブロック」の交換で解消。民間の車屋における修理費は総額で20万円弱でしたが、正規ディーラーだともっと高額になるでしょう。
詳細は以下の記事をご覧ください。
kamas-cars.hatenablog.com
kamas-cars.hatenablog.com
- エアサス関連部品の交換履歴はあるか?
- 車高の昇降がスムーズか?
- エンジンオフで車高が維持されるか?
エアサス関連部品の交換履歴はあるか?
W205にもバネサス車とエアサス車がありますので、まずはサスペンションの仕様を確認しましょう。
エアサス車の場合、いずれエアサスが故障するのはほぼ確実と言っても過言ではありません。ですから、必ずエアサス関連の部品について交換履歴を確認しましょう。エアコンプレッサー、バルブロック、ベローズ(バッグ)の交換履歴があれば安心です。
なお、W205のエアサスに関するリコールも発表されています。該当するかどうかもチェックしておきたいですね。
www.mercedes-benz.jp
車高の昇降がスムーズか?
W205のエアサス装着車はボタン一つで車高をマックスまで上げることができます。
また「アジリティセレクト」で選ぶ走行モードによっても車高が変わります。
中古車の現車確認の際、可能であれば上記のコマンドを活用して車高の昇降がスムーズかどうかチェックしましょう。例えばフロントとリアで昇降するスピードが違う場合は要注意、近いうちに不具合が発生する可能性があるかも知れません。
エンジンオフで車高が維持されるか?
エアサスのベローズからのエア漏れがある場合、エンジンオフの状態で車高が下がっていきます。正常な状態でもエンジンオフで数mm下がることはありますが、数cmと目視で明らかに分かるような下がる場合は要注意です。
中古車の現車確認の際は、エンジンオフの状態で車高が維持されているかチェックしましょう。逆にエンジンを始動した時、走行モードを変えていないにも関わらず明らかに車高が上がるようであれば、注意した方が良いかも知れません。
足回りのギシギシ音
フロントの足回りから異音が発生。車体が上下に揺れたりステアリングを動かした時に「ギシギシ」「キー」と言う異音が鳴るようになりました。
原因はロアアームのボールジョイント部分の劣化。ゴムブーツの破れ等がなくても中のグリスが枯渇するようです。
ボールジョイント部分のみを交換することはできないため、ロアアームごと交換となります。
詳細は以下の記事をご覧ください。
kamas-cars.hatenablog.com
- フロントロアアームの交換履歴はあるか?
- 足回りから異音はしないか?
フロントロアアームの交換履歴はあるか?
これもW205の定番故障ですから、できればロアアーム交換済みの個体が望ましいですね。
概ね5〜7万キロあたりで異音が発生することが多いようです。筆者のW205も6万キロあたりで発生しました。
また左右どちら片方“のみ”交換した履歴があれば、近いうちにもう片方も交換が必要になる可能性が高いです。
足回りから異音はしないか?
足回りから異音がしないか注意深く聞きましょう。車に乗り込んで車体が沈んだ時にフロントの足回りからギシギシ音がしたら不具合です。
また、ステアリングを操作した時に「キー」と言う異音がしないことも確認したほうが良いですね。室内からは聞こえにくいので外からチェックできればベストです。
冷間始動時のガソリン臭
冬の寒い時期にエンジンを始動するとエアコンからガソリン臭がする不具合がW205でよく発生します。
原因は燃料ポンプ低圧ホースからのガソリンの滲みです。冷間時はホースが収縮するため接続部から微量滲みますが、エンジンが暖まると収縮は解消されて臭いは消えます。
- 燃料ホースの交換履歴はあるか?
- 冷間始動時にガソリン臭はしないか?
燃料ホースの交換履歴はあるか?
過去に燃料ホースの交換履歴があれば、すぐに再発する恐れは少ないでしょう。
ただしメーカーから対策品が出ている訳でもなさそうなので交換履歴があっても再発する可能性は十分にあります。
冷間始動時にガソリン臭はしないか?
実際にガソリン臭がしないか確かめることが出来ればベストです。もし冬場に現車確認を行った時はエンジンをかけて室内のエアコンの臭いをチェックしましょう。
ただし、“冬の寒い時期にエンジンを始動した数分間だけ”という限られた条件でのみ発生する不具合ですから、見抜くのは難しいかも知れません。
シートバックポケット開きっぱなし
運転席と助手席の背面にある「シートバックポケット」が開きっぱなしになる不具合が発生しました。
原因はシート内部にあるゴム紐の巻取り装置の不良。巻き取る力が弱くなって伸びた状態になってしまいます。
修理費は割に高額で、概ね部品代が片方3万5000円、工賃で片方1万円。左右合わせるとトータルで8〜9万円にもなりますので、なるべく避けたい不具合です。
詳細は以下をご覧下さい。
kamas-cars.hatenablog.com
- シートバックポケットが閉じているか?
シートバックポケットが閉じているか?
これは目視で簡単に確認できますから、必ずシートバックポケットがちゃんと閉じているかチェックしておきましょう。
中古車の現車確認では運転席周りを中心にチェックしてシートバックポケットは見逃しがちです。また、ポケットを開けた時にゴム紐の反力が弱い場合も近いうちに上写真にように伸び切ってしまう可能性が高いので注意が必要です。
給油口キャップの紐切れ
W205の給油口キャップには、落下防止のためゴム製の紐(ひも)が付いています。その給油口キャップの紐が経年劣化でひび割れて千切れてしまう不具合がよく発生します。
原因は経年劣化ですが、正直防ぎようがないですね。ガソリン近くの部品ですから、特にゴムが劣化しやすい箇所なのかも知れません。
部品代は3000〜4000円、交換はDIYでも簡単にできます。
- 給油口キャップの紐が切れていないか?
給油口キャップの紐が切れていないか?
現車確認の際は、給油口キャップがヒビ割れたり千切れたりしていないか確認しましょう。ガソリンタンクの蓋を開ければ確認できますから簡単です。
もし仮に千切れてしまっても部品代は数千円ですから大したことないですけどね。
ドアハンドルLEDの照度バラツキ
グレードによっては夜間に前後左右4つのアウタードアハンドルのLEDが光るようになっています。いわゆるロケイターライティングですね。
このアウタードアハンドルのLEDが高確率で明るさにバラツキが出たり、光らなくなったりします。 新車登録後2〜3年目で発生するケースもあり、かなり早い段階で現れる症状です。
もし交換になると1箇所あたり部品代は3000円、工賃で7000円ほどかかりますから、4箇所直すとトータルで4万円ほどになります。
- ドアハンドルLEDの交換履歴があるか?
- ドアハンドルLEDの明るさは問題ないか?
ドアハンドルLEDの交換履歴があるか?
まずはドアハンドルLEDの交換履歴があるか確認しましょう。もし一度も交換していない、もしくは一部だけ交換している場合は近いうちに未交換箇所で不具合が発生する可能性が高いです。
ドアハンドルLEDの明るさは問題ないか?
もし夜暗いときに中古車の現車を確認できる機会があれば、ぜひドアハンドルのLEDの明るさに問題がないかチェックしておきましょう。
場所によって明るさが違う場合は不具合の前兆です。
ヘッドレスト内部のスプリング外れ
フロントシートのヘッドレストから「カラカラ」と言う異音が発生するようになりました。
この不具合は、ヘッドレスト内部にあるスプリング外れが原因です。
W205のヘッドレストは前後位置も調節できるようになっていますが、そのボタンのスプリングが外れてしまうようです。
「ヘッドレストぐらいなら簡単にDIYで交換できるのでは?」と思うかも知れませんが、W205のヘッドレストは上下位置を電動で調節する構造になっているため、一般的なヘッドレストのように簡単に取り外すことができません。ヘッドレストの交換は意外にも大変な作業のようです。
- ヘッドレストから異音はしないか?
その他細部の劣化
不具合と言うほどでもないですが、やっぱり細かいところは使用するにつれて劣化してきます。
中古車を選ぶ時もなるべく使用感の少ない個体を選びたいところ。現車確認をするときに「ここをチェックすればOK」と言う箇所をご紹介していきます。
本革シートの擦れ
革シートの宿命とも言えますが、やはりシートのショルダー部分に擦れが発生します。特に乗り降りの頻度が高い運転席で顕著に現れる症状です。
中古車の現車確認の際は是非ともチェックしたい箇所です。
リアメッキ部分のヒビ割れ
経年劣化でリアのトランクオープナー上のメッキ部分(ナンバープレートの上)がヒビ割れてきます。防ぎようがない不具合で、新品に交換するしか対策はありません。
ハンドルの本革剥がれ
ハンドルのグリップ部分にあしらわれているパンチングレザーが剥げてきました。
普段使っていると意外と気になりませんが、やはり目につく部分ですから中古車選びの時はチェックしたいですね。
メッキモールの白サビ
コレは欧州車全般に発生している症状ですが、メッキモールに白サビが発生してしまいます。
青空駐車、ガレージ保管で多少は進行具合に差はあるものの、基本的に雨に濡れると白サビが発生します。
対策はDIYで磨くか、ラッピングなどで誤魔化すか…ですね。詳細は以下の記事をご覧ください。
kamas-cars.hatenablog.com
kamas-cars.hatenablog.com
中古車価格はお手頃
さて、ここまで不具合や故障事例を列挙してきたので尻込みしてしまう方も多いかも知れませんが、それを差っ引いてもW205は非常に魅力的な車です。デザインの良さ、内装の高級感、走行性能も高さなど語り尽くせない魅力が詰まっていますよ。所有すればきっと満足できる車だと思います。
W205は非常に人気の高いモデルだったため、中古車市場ではたくさんの個体が出回っています。販売から9年が経過していますので、求めやすい価格の中古車も出てきていますよ。
一方、W205は2018年にマイナーチェンジが実施されていますので前期モデルと後期モデル、どちらを狙うか決めておいた方が良いかも知れません。
W205の中古車相場は
(下記に記載の情報は2023年1月時点におけるものです)
W205の中古車価格は最安値で140万円ほど。100万円台から狙えますね。
ただし長く乗ることを考えるなら、なるべく走行距離が少なくて新しい個体を狙いたいところ。例えば3万キロ以内、新車登録から3年以内で絞り込むと、概ね370万円〜となりますね。
実際に希望の条件でいくらぐらいになるか気になる方は以下のボタンからどうぞ。
まとめ
いかがだったでしょうか。
日本発売から早9年弱が経過したW205ですが、現行モデルに負けないほどの様々な魅力が詰まったモデル。その実力ゆえ、今なお根強い人気があります。半導体不足でコストダウンされている最新モデルよりも、贅沢な装備が奢られた旧モデルを狙うのはいかがでしょうか?
今回ご紹介した注意点を参考にしていただき、下のボタンからご希望の条件にあった個体を見つけてくださいね。きっと素晴らしいカーライフになると思いますよ。