四輪駆動車やSUVは“雪道に強い車”というイメージをお持ちの方が多いと思います。一方で“雪道が苦手な車”と言えば、皆さんはどんな車をイメージしますか?車高の低いスポーツカーやセダンタイプを思い浮かべる方が多いはず。
そのため「スポーツカーやセダンの雪道性能って実際どうなの?」「FR車が雪道に弱い理由を知りたい」と思っている方が多いと思います。
そこで今回は…
- FR車で雪道を走るとどうなる?
- FR車が雪道に弱い理由
これを読めば、FR車の雪道性能の実力とその理由を理解できますよ。雪道における駆動方式の重要性もなるべく分かりやすく解説していきます。
FR車で雪道を走るとどうなる?
スポーツカーやセダンタイプの車はミニバンやSUVに比べて重心が低いため、走行中の安定感が高いイメージが強いですよね。一般論ではありますが、スポーツカーやセダンタイプの車は他のボディタイプに比べると「走り」や「安定感」に優れるモデルが多い印象です。
しかし、それはあくまで舗装路に限った話。雪道や悪路は苦手なイメージですよね。実際にスポーツカーやセダンタイプの車で雪道を走るとどうなるのでしょうか。
セダンやスポーツカーはFR車が多い
一般的にスポーツカーやセダンタイプの駆動方式はFR(フロントエンジン・リヤドライブ)が多いです。FR車とは、車両前方にエンジンを搭載した後輪駆動の車のことです。
スポーツカーやセダンにFR車が多い理由として、FRは駆動輪と操舵輪が別々になるためコーナリング時や加速時の感覚が自然になることが挙げられます。そのため、高い次元の「走り」を求められるスポーツカーや高級セダンの駆動方式としてFRが採用されることが多いのです。
(もちろんスポーツカーはFRであるべき!…なんてことはなく、シビックやメガーヌなど FFの素晴らしいスポーツカーも多数存在しますよ。)
そんな「走り」の質感に優れるFR車ですが、どうやら雪道はかなり苦手のようです。
実際にFR車であるベンツCクラス(セダン)で雪道を走った結果は…?
ベンツCクラスで雪道を走った結果
先日、全国的な寒波に見舞われ、滅多に雪が降らない筆者が住む地域もかなりの積雪となりました。
こんな時は車に乗らないのが一番の得策…と思いつつも、出かけざるを得ない用事ができてしまったため、愛車のベンツCクラスで雪道を走ったんですよね。
その結果…
家のすぐ近くの坂道でスタックしました。スタッドレスを履いているにも関わらず。
幸い交通量が少なく後続車もいないのが救いでしたが、かなり焦ります。とりあえずブレーキを踏んで一息。
たしかこんな時は不用意にアクセルを踏んではいけないんだったな…と思い出し、ゆっくりブレーキを離してみます。クリープなら動くやろ…動いてくれ…と願いも虚しく一切動かない。タイヤと路面が完全に滑っており、全く前に進みません。
結局、タイヤの下にタオルを敷いて何とか脱出できましたが、FR車であるCクラスの雪道性能の実力をつくづく思い知らされました。
では、なぜFR車はこんなにも雪道の坂道発進で苦労するのでしょうか。その原因は…?
FR車が雪道に弱い理由
FR車が雪道に弱い理由は…
「荷重が駆動輪に乗りにくいから」です。
どう言うことか、順に解説していきますね。
キーワードは“摩擦力”
よく言われることですが、車はハガキ一枚分の面積でしか接地していません。つまり、このハガキ一枚分の面積の“摩擦力”によってタイヤがグリップし、車が動いたり止まったりする訳です。
ここで重要なキーワードが“摩擦力”です。
少し小難しいお話になりますが、摩擦力の公式は「f=μN」、つまり摩擦力(f)=摩擦係数(μ)×垂直抗力(N)で計算されます。垂直抗力とは、地面に対して垂直に働く力のこと…今回のように自動車のタイヤにおける摩擦力を考える場合「垂直抗力=荷重」と読み替えて良さそうです。
つまり、摩擦係数が高いほど、そして荷重が高いほど、摩擦力は高くなり、よくグリップするようになるわけです。
雪道は摩擦係数が低い
舗装路で運転している時は、普通はタイヤがスリップすることはないですよね。なぜなら舗装路面とタイヤの間の摩擦係数(μ)は十分高く、その限界を越えることは滅多にないからです。
ところが、ご存知の通り雪道はツルツル。雪道ではタイヤと路面の間の摩擦係数(μ)が極端に低いため摩擦力が低下し、グリップ力が一気に失われてしまうのです。
だから雪道で運転すると、遅い速度でも簡単にグリップの限界を超えてしまい、スリップしたりスタックしてしまうんですね。
ではどんな車なら雪道に強いのか?
そこでカギになるのが「荷重」なのです。
タイヤの“摩擦力”は荷重で変化する
普段、舗装路で私たちが運転するときはタイヤの摩擦力を気にすることはありませんが、サーキットで限界を攻めるレーサー達は常にタイヤの摩擦力を考え、コントロールしながら走行しているんだそう。
でも、摩擦力ってどうやってコントロールするの?意図的にタイヤの摩擦力って変えることができるの?と言うと…
「荷重」で摩擦力をコントロールできるのです。
荷重が大きくなるほど摩擦力も大きくなるため、意図的に荷重を前輪に掛けたり、後輪にかけたりしてタイヤの摩擦力をコントロールしているのですね。
例えばコーナーを曲がる時は操舵輪であるフロントタイヤの摩擦力を増やすため前輪に荷重をかけたり、リヤタイヤが滑ってスピンしそうであればブレーキを緩めてリヤに荷重を戻したり…と言った具合に、レーサー達はプロの技でタイヤの摩擦力を自在にコントロールしているんですね。
FR車は駆動輪に荷重がかかりにくい
私たち素人はレーサーのように自在に摩擦力をコントロールすることはできません。しかし自分の愛車の駆動方式を知ることで、前後のタイヤにかかる荷重どちらが大きいか?を把握することはできます。
すなわち、駆動輪にかかる荷重の大小を把握することで、雪道における発進時にタイヤがグリップしやすい状態かどうかを予測することはできます。
例えば、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)であれば駆動輪であるフロントタイヤに、フロントにあるエンジンの荷重が乗るためグリップ力は高いことになります。
では、スポーツカーやセダンに多いFR車はどうでしょうか。フロントにエンジンがありリヤタイヤが駆動する…そのため駆動輪であるリヤタイヤに荷重が乗らないので、グリップ力は低くなってしまいます。
これがFR車であるスポーツカー、セダンが雪道に弱い理由です。
一方、四輪駆動車(AWD)は4つ全ての車輪が駆動するため雪道でスタックした時の復帰力は抜群です。だから「四輪駆動車は雪道に強い」と言われるんですね。
時折「BMWは雪道に強い」との噂も聞かれます。
BMWはスポーティな乗り味が売りのメーカーで、以前はそのほとんどがFR車でした(今はFFやAWDなど色々ありますが)。そんなBMWがなぜ雪道に強いと言われるのか?と言うと、BMWの前後の重量配分がフロント:リヤが50:50なんですよね。
すなわち、一般的なFR車はエンジンの重さでフロント側に重量配分が偏るのに対し、BMWはエンジンをキャビンに近い中央付近に搭載しているため前後均等に荷重がかかるのです。そのため、一般的なFR車に比べてリヤに荷重がかかりやすいため「BMWは雪道に強い」とされるのです。
ただし、あくまでこれは雪道でスタックした時、再発進できるかどうか?…というシーンに限った話です。
雪道でスピードを出し過ぎて止まれない!という場合は車種や駆動方式問わずどうしようもありません…。くれぐれも雪道では慎重に運転するようにしてくださいね。
まとめ
今回、初めて大雪の中をCクラスで運転しましたがかなり肝を冷やしました。“FR車は雪道に弱い”という事実をしみじみと痛感した出来事でした。スタッドレスもFR車の前では無力とは…。
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