メルセデスベンツが作るミドルサイズセダンとして長い歴史を持つCクラス。高級感と程よいサイズ感を持ち合わせていることから根強い人気を誇るモデルです。
新型であるW206が発表されてから早くも1年が過ぎようとしていますが、中古車市場に目を向けると1世代前となるW205が豊富に出回っています。
しかしベンツの中古車を買うとなると、心配になるのが故障ですよね。“外車は壊れやすい”と言うネガティブな声もある一方で”メルセデスベンツは長く乗れる“と言う声も聞かれます。実際はどうなんだろう?と疑問に思いますよね。
そのため「ベンツCクラスはどれぐらいから故障するのか知りたい」「何万キロの中古車なら大丈夫なのか知りたい」「Cクラスの寿命を知りたい」と思っている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は…
- ベンツの寿命が長いってホント?
- Cクラス(W205)の寿命はどれぐらい?
- W205はどれぐらいから壊れ始めるの?
これを読めばCクラス(W205)がどれぐらいから故障し始めるかがよく分かりますよ。W205の定番と言える故障を一通り経験してきた筆者が、時系列で故障事例をご紹介していきます。
実際にCクラス(W205)を5年間してきた筆者が、これまでの経験を元に徹底解説していきます!
ベンツの寿命が長いってホント?
「ベンツは20年、30年と乗れる」との声も聞かれるほど、“ベンツは頑丈で長持ち”といったイメージをお持ちの方が多いようです。
果たしてベンツの寿命が長いのは本当なのでしょうか。その答えを明らかにするには、まず車の寿命について定義する必要がありそうです。
車の寿命とは?
人や動物の「寿命」とは”命がある間の長さ“と明確に定義できますが、車などの工業製品や機械の場合はどうでしょうか。壊れたとしても部品を交換すれば元に戻りますから、車の寿命を見極めるには非常に難しいと言えます。
車が壊れたとしても修理可能な間は延命できることから、部品の供給が停止した時点が“車の寿命”と言えますね(もっとも、部品を自分で作製できれば永遠に乗れるわけですが)。
しかし、実際に部品の供給が停止するまで車を維持するのは非常にお金がかかります。それに車の性能は日進月歩、乗り心地が良くて燃費も良い魅力的な車が続々とデビューしていきますよね。現実的には、古くなるにつれて次第に高くなっていく修理費に対して、乗り続けるメリットを感じなくなったときに乗り換える人がほとんどです。
つまり、現実的な“車の寿命”は、高額な修理費用が発生するようになったとき、もしくは乗り心地や燃費などの性能が劣化したとき…と言えますね。
ベンツは部品供給期間が長い
”ベンツは寿命が長い“と言われる理由の一つに、ベンツは部品の供給期間が長いことが挙げられます。
国産車メーカーの場合、純正の部品が供給される期間は生産終了から10年ぐらいが目安。それ以降はメーカーからの部品供給が途絶えてしまうため、社外品などを使わない限りは修理不可になってしまいます。
一方、メルセデスベンツは純正部品の供給期間が非常に長いことが知られています。車種にもよりますが、図面が残っていたらそれを元に部品を作ってくれるんだとか。人気のある車種なら30年以上前のモデルでも部品を供給してくれるのです。
そのため、生産終了から長い時間が経った古いベンツでも純正部品が供給されて修理できるため、ある意味”ベンツの寿命は長い“と言えますね。
クラシックベンツのサポートも手厚い
メルセデスベンツでは、ベンツを長い間愛用しているユーザーに対して表彰を行うなど、車を大切に長期保有しているユーザーに対して敬意を示す姿勢を大切にしています。
さらにクラシックベンツ専門の整備・販売を行う「オールタイムスターズ」や「ヤング・クラシック リフレッシュプログラム」などのサービスをメーカー主導で展開しています。
ここでは日常の足として使える20〜30年前のヤングクラシックベンツから、コレクターレベルの50〜60年以上前のクラシックベンツまでを取り扱っています。
さらにベンツの日本代理店「ヤナセ」もクラシックベンツのサポート体制を構築しています。ベンツは純正部品の供給期間が長いと言えど、やはり車種によっては供給停止となっているものもあります。そのように入手困難な絶版の部品をヤナセが独自に再生・販売するサービスを展開しているのです。
このように、メーカーや代理店がクラシックベンツに対して様々な形でサポートを行なっているため、古いベンツでも維持できる環境が整っているのです(お金はかかるでしょうが)。
このような環境も”ベンツは寿命が長い“と言われる一因かも知れません。
乗り心地の寿命は…?
ここまで解説してきたのはあくまでクラシックベンツ、つまり希少価値があって相場が高騰しているような車種に限った話。このようなモデルは乗り心地とか関係なく、存在自体に価値があるようなモデルですよね。そしてそのような車を維持できるのはコレクターレベルの知識と資金があるようなハイオーナーに限られた話です。
一方、一般人が普通に購入できる数年〜10年ほど前のモデルはどうでしょうか。修理に関して言えば、この辺りの車種ならお金を払えば当然修理は可能です。
でも高い修理費をかけてまで乗り続ける価値があるか?乗り心地や走りは劣化しないのか?と言うと…
個人によって感じ方は様々と思いますが、私は古いベンツでもお金をかけて乗り続ける価値は十分にあると考えます。
私が過去に乗ったことのあるベンツで一番古いのは、W212 Eクラスワゴンです。走行距離が12万キロを超えている、かなり年季の入った個体をディーラーから代車としてお借りしたことがあるのですが…
それはそれは素晴らしい乗り心地でした。
詳細は以下のページをご覧下さい。
kamas-cars.hatenablog.com
正直ベンツで10万キロ超えたらボロボロなんじゃない…?と思っていたのですが、こんなに乗り心地が良いならW205からW212への乗り換えもアリだな…!と思えるほど。代車を返すときは名残惜しかったですねぇ。
正規ディーラーの代車ですから、当然それなりに整備された車両であることは間違いないでしょうが、12万キロを超えた個体とは思えないほどの乗り心地でした。
つまり、きっちり整備すれば多少古くてもベンツならではの素晴らしい乗り心地は維持できると考えていいと思います。
Cクラス(W205)の寿命はどれぐらい?
それでは本題、Cクラス(W205)の寿命はどれぐらいか?について解説していきます。
ここでは“部品劣化により故障し始めるタイミング”を寿命として考えていきたいと思います。
愛車Cクラスの詳細
私が所有するCクラスの詳細は以下の通り。
現在の走行距離は約6.5万キロです。
ズバリCクラスの寿命は?
私が所有するW205Cクラスの故障履歴から考えるCクラスの寿命は…
おおよそ5〜6万キロと考えています。
…え?
ベンツって5万キロが寿命なん?
短すぎん?
と思われた方。ごもっともです。高級車ベンツたるもの、もう少し長持ちしてもらわないと…といのは真っ当な感覚かと思います。
なぜ5〜6万キロがCクラスの寿命だと考えるのか?と言うと、部品の劣化による故障がそれぐらいから出始めるからです。
もちろん修理すれば元通り直りますし、5〜6万キロ程度では乗り心地の変化もほとんどありません。もしかしたら、ここを乗り越えればこの先は不具合が落ち着くのかも知れませんが…。
不具合・故障の第一波は5〜6万キロに来ると考えていいかと思います。
W205はどれぐらいから壊れ始めるの?
W205の中古車を購入する私が所有するW205 Cクラスで実際に発生した故障・不具合を時系列で簡単にご紹介していきます。
その他、W205における定番故障について知りたい方は以下ページにまとめていますのでぜひご覧ください。
kamas-cars.hatenablog.com
初期不良や軽度な故障・不具合
①シートバックポケット開きっぱなし
走行距離2〜3万キロほどから発生しました。
W205の運転席と助手席の背面にあるポケットがあり、ゴム紐で閉じる構造なのですが…ゴム紐が伸びて開きっぱなしになってしまいました。
原因はシート内部にあるゴム紐の巻取り装置の不良だそうで、修理費用はなんと左右で合計8〜9万円。
特に走行に支障はないので今も放置しています…。
詳細は以下ページをご覧下さい。
kamas-cars.hatenablog.com
②ドアハンドルLEDの照度バラツキ
こちらも同様、走行距離2〜3万キロほどから発生した不具合です。
W205は「ロケイターライティング」という機能があり、夜間にドアのアウターハンドル(ドアノブ)が白色に光るようになっていますが、所々暗い箇所が目立つようになってきました。
原因はLEDの故障で、修理費用は一ヶ所あたり1万円ほど、4ヶ所全て直すと4万円とそこそこ高額になります。こちらも走行に支障はないので放置しています。
このように、W205の細かい不具合は走行距離2〜3万キロの比較的早い段階で発生する可能性は十分あります。
しかし、これらの不具合は初期不良と言っても良いですよね。設計自体に問題があるといっても過言ではなく、経年劣化ではないと思います。
したがって、この辺りの不具合は走行距離や年式に関わらず発生する可能性が高いので「寿命」とは関係のない不具合と考えられます。
部品の劣化による故障・不具合
さて、ここからは部品の劣化による故障・不具合です。エンジンや足回りなど走行に関する箇所の故障であり、直さなければ走れないような重大な故障も含みます。
いずれもW205ではよく見られるメジャーな不具合のようです。
①エアサス故障
私がW205を所有してきた中で史上最大の故障はエアサス故障でした。
これは初年度登録から6年目、走行距離は約5万キロあたりで発生した故障です。
購入当初から最も恐れていた故障…エンジンをかけていても車高がペッタンコになり、走行不能になってしまいました。コンプレッサーとバルブロック交換で直りましたが、未だエンジンを消して一晩置いておくとリヤだけ車高下がり気味…ということが続いており、完治には至っていません。
修理費用は20万円弱。サラリーマンにとっては大きな出費ですよね。
特にエアサスを酷使したこともないので、単純に部品の寿命を迎えたものと思われます。
詳細は以下ページをご覧下さい。
kamas-cars.hatenablog.com
ただし、2022年にW205を含むエアサスのリコールが発表されており、コンプレッサーは無償交換の対象になっています。
②足回りのギシギシ音
こちらは足回りから異音が発生する不具合です。
この不具合は初年度登録から6〜7年目、走行距離は6万キロあたりから発生したものです。
車体が上下に揺れると「ギシギシ」、ステアリングを動かすと「キー」という異音が右前輪付近から聞こえるようになりました。
原因はおそらくロアアームのボールジョイントのグリス切れ。ブーツが破れたりグリスが漏れ出ている様子は見られないので実害はないものの、街ゆく歩行者が振り向くほどの異音なので結構恥ずかしいですね。
本来ならロアアームの交換で対処すべきですが、シリコンスプレーをかけたらなぜか異音が直りました。たぶん再発すると思いますし、あんまり参考にすべきではないと思いますが、詳細を知りたい方は以下のページをご覧ください。
kamas-cars.hatenablog.com
kamas-cars.hatenablog.com
③冷間始動時のガソリン臭
朝イチでエンジンをかけたとき、エアコンからガソリン臭がしてくるようになりました。
これは初年度登録から7年目、走行距離は6万キロを超えたあたりから発生した不具合です。
原因は燃料ホース接続部からの燃料滲み。気温が低いとホースが収縮するため、このようなことが起こるそうです。この不具合は冷間始動時の数分間だけしか起こらないので、非常に気付きにくいと思います。
燃料ホースとホースバンドの交換が必要であり、修理には数万円かかります。
このように、部品の劣化による故障・不具合は5万キロを過ぎた辺りからで立て続けに起きている印象です。もちろん修理すれば元通りになるのですが、走行に支障をきたす不具合・故障が多いのでちょっと気が滅入りますね…。
ここに挙げた不具合は経年劣化により部品が寿命を迎えたことが原因。W205は走行距離5〜6万キロ辺りから劣化し始めると言っていいでしょう。これを「寿命」と呼ぶと少々語弊がある気もしますが…。
5〜6万キロ以上走行している中古のCクラスを購入する際は注意が必要です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
私が所有するW205は走行距離が5〜6万キロ辺りから部品の劣化による不具合・故障が出始めました。もちろん修理すれば直るので乗り続けていますが、不具合・故障の第一波がくる時期ということで、走行距離5〜6万キロを1つのターニングポイント、ある意味でCクラスの「寿命」と捉えてみるのもアリだと思います。
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